確かに近年の夏は異様な暑さですが、太陽光が強く注ぐ真夏は映像を撮影するには絶好の時期です。町は光と影を強調した幻想的な被写体に変化してくれますし、晴天時の日陰は線画撮影に驚くほどの好露出を提供してくれます。(照明システムが確立する前のアニメーションは晴天の日陰を利用して撮影されました)。
夏雲のインターバル撮影もこの時期ならではの参加型・パノラマ観劇です。カメラを三脚に固定し(三脚が無ければ養生テープなどで必ずカメラの固定を。)レリーズ(リモコンなど)でシャッターをほぼ等間隔に数秒置きに押します。すべてにおいて機械計算化が進んだ現在では、自動シャッター機能を使うより、自分で固有のリズム(それも愛すべき乱れのある)を刻みながら撮影するほうが手作り映像の臨場感が出ます。
ふと見上げた時、空の色が藍色に近いくらい濃く染まり、なおかつ空と雲の輪郭がシャープに区切れていたらチャンスです。夕方、西日を淡く受けて雲がやや黄色味がかった輝きを放っていれば、夏特有の感傷的な画風が得られます。リズムの目安としては、肌にやや風が当たる場合であれば、3秒置きぐらいにシャッターを押してみます。10分ぐらい撮影して、フリーのアニメーション撮影ソフト等で映写すれば、自作の雄大な天空パノラマ映像を見る事ができます。大きな渦を巻く巨大な雲の回転が映っていれば大成功です。
インターバル撮影を利用した作品は国内外に数多くありますが、巨額の予算を使って地球上の「動き」を収めたゴッドフリー・レジオ監督「コヤニスカッティ(1982)」は特に印象的です。