ゲゲゲの鬼太郎 1971 第37話 「地相眼」
旧カラーシーズンの中でも好きな作品。その後、15分のディレクターズカット版が、35ミリにブローアップされ東映まんがまつりで上映された。ギャグシーンをカットしたシリアスなドラマになっている。上記は台詞がカットされていないTV放映バージョン。
演出は笠井由勝氏。脚本:柴田夏余氏。まんがまつりにゲゲゲの上映が決まったとき、どのエピソードを上映するかを、まだ制作現場スタッフが決められた時代。
冒頭、戦後の焼け野原の復員兵から物語はスタートする。そしていつのまにか日本は戦争特需景気や自民党のアメリカ従属路線とともに高度経済成長を遂げていく。
21:05~、父親の代わりに妖怪の人身御供に差し出される実の息子。
息子が最後の別れで、父に言う台詞。
「命より企業が大切、人間より経済が大切。お父さんはそれで今日の財を成した筈でしょ。」
息子は妖怪に魂を奪われ死んでいく。もうろうとした頭で息子のモノローグが入る。
「勝つか負けるか、2つに1つの経済競争しかない国に、日本はいつからなってしまったんだろう。日本人はいつから集団発狂してエコノミックきちがいになってしまったのだろう。ああ、意識が薄れて行く…。どうして皆、もっと幸せな人間らしい生き方ができる方向に行かないんだろう。」
なお、「エコノミックきちがい」は、地上波の再放送と劇場版では音声がカットされていた。